ミッション・トゥ・マーズ…全部ツッコんでみよう - 映像ぴっか!

ミッション・トゥ・マーズ…全部ツッコんでみよう




ブライアン・デ・パルマ監督の「ミッション・トゥ・マーズ」です。2000年の作品。これけっこう話題にはなったよね。ほぼ同時期に公開の「レッド・プラネット」よりもずっと有名な気がするなぁ。
ちゅうことで、けっこう期待してたんよ。「レッド・プラネット」は好きだったんで、同じ流れのこの作品もそれなりに楽しいだろうという安易な思い込みで。

ハイこの映画、最悪でした。いやウソ。つっこみどころが多くておもろかった笑
今日はネタバレ関係なしで全部いくどー。

簡単にストーリー紹介するなら、「2020年、人類は初の有人火星飛行に成功する。だが謎の砂嵐のせいでクルーの生存は絶望的な状況に。生きている可能性を求め、そして火星表面での謎を解くべく、新たな救出ミッションが始まった…」って感じ。まぁ普通でしょ?

これって明らかに1998年出版の「惑星の暗号(グラハム・ハンコック著)」で紹介された説をベースにしてるね。火星に衝突した小惑星によって気候が激変して現在の姿になったっていう説ね。んで火星ではシドニア地区の「あの」人面岩(今となっては懐かしい笑)のあたりに超古代文明が存在してて、火星には住めなくなっちゃったんで、火星人は新天地を求めて旅に出たと。そんな流れ。SFならどこにでもあるテーマではある。


まずはわかりやすいとこから。無重力空間でダンスのレッスンをするシーンがあります。このシーン自体はなかなかオシャレで良いっすよ。
でね、乗組員を宙吊りで固定したり、じょうずにくるくる回る装置を使ったりと、撮影もなかなかに工夫してて「へーすげー」って感じではあるよ。ちゃんと無重力空間で踊ってるように見える。
とっころが!けっこう目立つところでティム・ロビンスの腕時計がずるっと落ちるんだよ。あのー確かココ無重力空間ですよね。画面中央だからすぐわかっちゃう。撮りなおせー!


途中に火星ローバーが出てきます。このカットを初めて見たとき、「いやいや速いから!」って笑えたのね。動きが異常に速い。まるでラジコンカーのようにちょこまか行ったり来たりしてんのさ。
おそらくこれは初代ローバーの「ソジャーナ」を参考にして作ってるんだろう(大きさがやっぱラジコンカーくらいだった)けど、ソジャーナが時速18m(キロじゃないよ笑)だったのに比べると何十倍っていうスピードで動いてることになる。すごい進歩だ。
でも実はこっからが大問題。これって有人探査なんで、人間が3人も乗り込める移動用のでっかいでっかいローバーがちゃんとあるんだわ。じゃぁこのソジャーナもどきの存在意義って…


宇宙船の居住区では、円形の大きなモジュールをぐるぐる回すことで遠心力が働くのを利用し、人工重力を生み出しているという設定。ここでおかしいことが2つ。

まずはわかりやすいとこからね。クルーがはしごを上って回転の中心部分へ行くシーンがあるんだけど、その時「普通に」はしごを上っていくのね。え?わかんない?遠心力ってのは中心から離れるほど大きいしょ?ってことは逆に、回転の中心に行くにつれて遠心力は小さくなっていく。で、中心まで行くと遠心力(=人工重力)はゼロになるはずなのさ。だからホントは、はしごを上る(中心に向かう)につれて、ふわふわ浮き始めないとおかしいのよ。そんなそぶりは全くありません。コンコンコンと軽快に上がってく。

もひとつ、このシーンは実際に大きな円形モジュールを回転させて撮影をしてるんだけど(これ「2001年宇宙の旅」のマネだよね)、見てすぐわかるのは、明らかに「回転が遅い」ってこと。あんなウキウキと歩けるわけない(普通に歩けてるのはもちろん地球上で撮影してるからですが)。

これ実際にどのぐらいの人工重力が生まれるか計算してみたいと思ってたっけ、幸いにも、メーキングの中で特殊効果の監督が自慢気に数字を披露してくれてます。それによると「直径11m、毎分6回転」とのこと。これ実際に計算すると、重力加速度が2.17と出ます。地球上が9.8だから、ここの人工重力は地球上の約22%、つまり4分の1から5分の1しかないわけだ。ほら、歩けないでしょ?

逆に、地球上と同じ重力を生み出すには毎分何回転させればいいかは宿題としておこう。答えはあえて言わないけど「撮影は不可能」とだけ。


まだまだ続くぞ。船体の傷を調べようと船外活動していたクルーに、中の技術者がこう言う。「そろそろ火星の重力圏だからすぐ船に戻るんだ」と。それに従って急いで戻る飛行士。

このシーンはむちゃくちゃだなぁ。船に戻るとき、視界いっぱいに広がる火星を見て「美しい」なんて言うんだけど、はーいまず1つめ。その距離ってとっくに重力圏内だと思うぞ笑。今さら船に戻ったところで地表に激突するだけだから、もっとゆっくり美しい火星を鑑賞しとけばよい。

2つめぇ。惑星に向かってまっすぐ(地表に垂直に)進入するなんてNASAはどんな神経してんだよ笑。普通はすごく浅い角度で(つまり横から)進入するもんだろ。そして周回軌道にしばらくとどまった上で、着陸場所を探したり、いい気象条件を待ったりするもんじゃねーの?周回軌道にいときゃ慌てずゆっくりと船外活動もできたろうにー。


おかしなとこの極めつけはクライマックスにありました。ちょっと詳しめに説明しよう。映画では、古代の火星人がDNAを地球に打ち込み、その微生物が徐々に進化して最終的に地球人になったっていう設定。このあたりは1996年のNASAによる「火星隕石に生物の痕跡の可能性アリ」の発表がベースやね。

さてこの超古代火星人、どうして自分たちのDNAじゃなくてわざわざ微生物のDNAを地球に送ったのかはまぁ目をつぶるとして、その後地球で進化した人類が、なぜ超古代文明の火星人と同じく二足歩行で、顔つきまでそっくりになると予測できたんだろう。巨大隕石で恐竜が滅び、哺乳類が生き残るとどうしてわかったんだろう。どうしてしっぽが退化するとわかったんだろう。
それほどにこの火星人と地球人、似すぎですわ


んまぁ細かいのはまだまだキリないけど、なんだかんだでけっこう楽しんでるオレなのでした。


【Amazon オンデマンド情報】
ミッション・トゥ・マーズ (字幕/高画質)  レンタル ¥400/購入 ¥2,000
ミッション・トゥ・マーズ (字幕/標準画質) レンタル ¥300/購入 ¥1,500





FC2Ad